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耳かきのやり過ぎは疾患を引き起こす!2月に1回を目安に!

アメリカ耳鼻咽喉科頭頚部外科学会は2017年に「Clinical Practice Guideline: Cerumen Impaction」という耳のケアに関する新しいガイドラインを発表しました。
このガイドラインにも記されている通り、耳掃除のやり過ぎには疾患を引き起こすリスクも潜んでいます。
そこでこちらでは、正しい耳かきの方法についてご紹介したいと思います。
※参考:アメリカ耳鼻咽喉科頭頚部外科学会「Clinical Practice Guideline: Cerumen Impaction」
http://www.entnet.org/content/clinical-practice-guideline-cerumen-impaction

1. そもそも耳垢とは?

耳の中には外敵から守る皮膚があります。鼓膜の表面も皮膚と同じ組織でできています。体のどこの場所もそうですが、皮膚は常に細胞が入れ替わり、いらなくなった皮膚が垢になります。耳の中でこの垢がたまるのが耳垢です。
耳の中の皮膚は、鼓膜から外へと向かって移動するので、耳垢は耳の入口にたまるようになっています。日本人の約70~80%は乾燥した耳垢ですが、20~30%は湿った耳垢です。これは遺伝的に決まっているようです。

2. 耳かきの正しい頻度は医師の見解によって違う

医師によって耳かきに関する見解は様々です。「多少の耳かきであれば問題ない」という意見や「全く必要ない」という見方も。「本来、動物は耳かきをしない」「耳垢は自然に排出される」とコメントしている医師もいます。
いずれにしてもアメリカ耳鼻咽喉科頭頚部外科学会の研究発表からもわかるように、耳かきのやりすぎは良くないようです。

3. 耳かきのやりすぎで鼓膜炎や外耳炎などを発症

耳の中の皮膚はとても薄いため、耳の中を必要以上に刺激するとすぐに炎症をおこしてしまいます。
皮膚の炎症がおこるとバリア機能が失われて外敵が侵入してきます。この外敵を排除しようとする反応が、「かゆみ」になります。かゆいとさらに耳かきをしてバリア機能をどんどん破壊してしまい、「かゆみ」が悪くなり、悪循環に入ります。この状態が慢性外耳炎といわれるものです。毎日耳をさわる方によくみられます。
外耳道から細菌が入ってしまい「鼓膜炎」や「急性外耳炎」をおこすと痛み、耳漏がでてきます。さらに悪くなると耳内がはれてしまい、聞こえにくくなったり、耳の周りのリンパ節炎をおこしたりしてしまいます。
外耳道の皮膚の中に膿がたまるようになると「耳癤:じせつ」と呼ばれ、激烈な痛みを感じることになります。
またバリア機能の低下から「カビ」が侵入するととてもかゆくなり、「外耳道真菌症」というトラブルを抱えることもあります。
耳の中を清潔に保つために消毒液を使用する人もいるようですが、消毒液は皮膚のバリア機能を障害するため、より悪化してしまうことがあるのでお勧めはできません。
お子さんがいる方は、お風呂上りに子どもの耳かきをしてあげることも多いと思います。その際は耳の中までさわらず、目で見える範囲だけさわるといいでしょう。

4. 耳かきのやりすぎで癌になることもある?

皮膚の組織は常に細胞が新しく入れ替わっています。つまり、細胞が増殖しつづけているのですが、これは遺伝子情報で適正にコントロールされています。これが限度なく増殖してしまう状態を「癌」と呼びます。皮膚の同じところがずっと炎症をおこすと適正にコントロールができなくなり、「癌」がひきおこされるのではと考えられています。
耳の中にできる「外耳癌」はとてもまれな疾患ですが、以前から耳かきのしすぎが原因のひとつではと疑われていました。2017年に発表されたデーターでは、「過剰な耳かきが外耳道癌発生を誘発する可能性が示唆される」と結論されています。
やはり、耳かきのやりすぎはしないにこしたことはないでしょう。
<参考>
外耳道癌と耳かき頻度の相関性の検討
石浦良平ら、「頭頚部癌:43巻、1号、76-78」

5. 耳かきの正しい頻度・やり方を紹介!

このように、耳かきのやり過ぎには様々なリスクが潜んでいます。ここからは、トラブルにならない正しい耳かきの方法について見ていきましょう。

5-1. 耳かきの頻度は2月に1回程度に

耳の皮膚の移動がうまく働かない人もいるため、これが必ず正解というものはありませんが、平均すると2月に1回程度までに抑えておくのが良いと個人的は考えています。耳垢が勝手に外にでてくるタイプの方はむしろ全く耳を触らない方がいいと思います。毎日の入浴の後に耳かきをする人もいると思いますが、それはまずやめた方がいいでしょう。また、小さな子どもであれば、さらに間隔をあけた方が良いでしょう。

5-2. 耳垢を取るのは入り口から1センチまで

鼓膜付近まで綿棒などを入れると、鼓膜を傷つけてしまう恐れがあります。またお風呂上りなど耳垢が柔らかい時は、耳垢を奥に押し込んでしまうことになりかねません。
耳垢が溜まる場所は耳の入り口から1センチ程度まで。それ以上奥まで綿棒を入れないようにしましょう。

5-3. 外耳の壁面を強く擦らないように

耳垢をきれいに取りたいと思うあまり、外耳の壁面を強く擦りたくなってしまうかもしれません。しかし、強く擦りすぎると外耳の皮膚が傷ついて外耳炎になってしまう可能性があります。ある程度の耳垢は耳を保護していることもわかっています。耳垢は少し残す程度に耳かきをしましょう。

6. 正しい頻度・方法で耳かきして清潔を保ちましょう

このように、専門家によって意見が分かれる「耳掃除の必要性」ですが、正しい方法で行えば耳の中を清潔に保つことができることも事実です。
毎日の耳かきが至福の時という方も多いでしょうが、方法や頻度を間違えるとトラブルを招きかねません。十分に気をつけて耳かきを行いましょう。

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